そもそも行動食とは
「行動食」という言葉、登山を始める前まで聞いたこともなかった言葉だった。多分歩きながら食事を取るってことだろうと深く考えてなかった。
一般的に言われていることも含めて圧縮すると
登山中歩きながら食べられる食事
手軽にカロリー補給
こんな感じで大体一致していた。
登山では座ってのんびり食べてる印象があったが、意外と軽食やおやつなどで補給しながら行動している。
スポーツや筋トレしている人ならカロリー補給の重要性は知っていると思うけど、そうでない人にとってはいまいちピンと来ないかもしれない。体が栄養を吸収できるまでの時間を考えると「おなか空いたから食べる」ではちと遅い。
夏の熱中症対策する時の水分塩分補給のようなもので、早めに小まめにカロリー補給するための食事(軽食)だと思えばよいと思う。
登山時における行動食の考え方
日々筋トレをしているトレーニー脳だと、山だろうが海だろうがまず一番にタンパク質のことばかり考えてしまうが、どちらかというと登山では炭水化物(糖質)のほうがより重要になるので一旦忘れよう。
以前までは、登山中のタンパク質補給に全力だった。日常の様にタンパク質補給による自己満足と筋肉たちへ食事を与える感覚だった。
ある日の登山、お試しで炭水化物補給に重点を置いてみた。その時のエネルギー回復効果は凄まじくこれまでのタンパク質補給は一体何だったのかと思わせるほど元気になり考え方が変わった。登山中に体が一番欲していたのは炭水化物だったことを体感したのを覚えている。
行動食のポイントとしては
- 軽量
- 保存が利く
- 高カロリー
細かいこと言えばもっとあるが、大まかに言えばこんなところだろう。
軽量
日帰りなのか、テント泊なのかその日の登山スタイルによって許容される重量は変わってくるが、基本的にはギアと同じように軽量を目指す。
荷物が重い → 筋肉や体力を多く使う → 消費カロリーが増える → より補給が必要
このように軽量であることは総合的に見て軽減できるメリットが高いと考えることができるはず。
通常、登山での食事では水分を多く含んだものよりも、水分を抜き切ったドライなものが軽量で好ましい。しかし行動食としては逆にドライよりウェットのほうが好ましいと考えている。
「どう考えてもウェットなものよりもドライのほうが軽量でいいじゃないか」と、考えてしまうが、
少し視野を広げてトータルで考えた場合どうなるだろうか。
目先の軽量だけで見ると、クッキーやパサパサに乾いた菓子類が高カロリーで軽量に見えるが、口内の水分が持って行かれることで喉の潤い欲しさに”水を飲む”ことに繋がる。つまりクッキーを食すことで水を飲んでしまうのでクッキーと水でワンセットという構図になる。そうなると総重量として決して軽量とは言えなくなる可能性が出てくる。
初めから水分を含めたしっとりしたものであれば喉の渇きは出にくく、水を飲んだとしても少量で済む。目先の重量は多くあるように見えるがトータルで軽量だといえる可能性はある。
そして、行動食の包装材を事前に捨てておくことで軽量化できるし、山の中で余計なごみを持ち歩かなくて済むメリットもある。
また同時にその形状もパッキングをする上で考えなくてはいけない要素となる。変な形状や固さがあるとパッキングがしにくくなる場合があるのでよく考えよう。崩せるものは崩してパッキングすれば無駄なデッドスペースの軽減にもつながる。
保存が利く
季節やその日の登山スタイルにもよるが、生ものや調理されたものは山の中で体調を崩すリスクを回避するためにも推奨しない。手作りのおにぎりやサンドウィッチなんかも含まれる。保存料が使われていないのであっという間に腐るので、気温など見て判断したほうが良い。
気温の低い冬や、保冷しながら持って行く場合は問題ないと思うが余計な荷物が増えることにもなるのでやはり基本は腐らない乾いたものなどが良いと思う。
高カロリー
「軽量で保存が利く」といっても低カロリーでは役に立たない。なるべく高カロリーなものを目指す。特に行動食であれば行動中のエネルギー補給を意味する部分が多いので、炭水化物(糖質)が多く必要になる。
第一に炭水化物を考え、+タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンなど必要な栄養素を足していく感じにして考えると上手くいく。
何を重点に置くか
全ての要求が揃った完璧な食材はない。どこかで妥協しながら持って行くことになる。
例えば、
「味も価格もカロリーも良いのに、重い・・。」
「軽量で味も価格も良いけど、カロリー少ない・・。」
このように、何かを得ようとすると何かを犠牲することになる。
ある程度は仕方がないと諦め、複数の食材で補ったり、食事をするタイミングで食事内容を変えたりして上手くやるのが良いと考えてる。
例えば、登山の上りではカロリーをより消費するので炭水化物を重点に置いたものを選び、稜線や緩い道を歩いている時は炭水化物はそこそこで栄養価の高い美味しいものに切り替えたり、適材適所ポイントを押さえていくような工夫をしていけばより合理的に補給することができると思う。